ゲームプランナーの技術ブログbyIT社員の公私混同

ゲームプランナー/企画職である管理人が、仕事する上で考えたことや習得したことを書くブログです。

ゲームプランナーの技術ブログ:ゲーム開発における「方向性」とは何か。

前回の記事では、トレードオフについて書き、ゲームの目指すべき方向性に対して、トレードオフをすることが大事であることを述べた。

 

sonykichi.hatenablog.com

では、ゲームの目指すべき方向性とは、どの様なものなのか。

トレードオフの前提となる方針にはどういったものがあるのだろうか。

今回は、ゲーム開発における方向性のカテゴリーについて考えたい。

 

 

 

 ゲームの「方向性」を議論する前提:お金とか期限とか

どんなゲームの方向性うんぬんのまえに、ゲーム開発には絶対的な制約がある。

 

それが予算と期限である。どれくらいの予算で、いつリリースするのかというのはいかんともしがたい。少なくとも、末端の企画職やプログラマー、グラフィッカーにどうこうできる問題ではない。

 

また、技術的な制約もある。人間に限りなく近い思考をするAIをもつNPCが登場するゲームというのは、現時点では開発不可能である。

 

ここで議論するゲームの方向性とは、上記の様な制約とは別に、ゲーム開発においてどういった制約=方針を設ければおもしろいゲームをつくることができるのかについてである。

 

私は、この方針には、ゲーム性におけるもの、アート面におけるもの、そしてストーリーにおけるものの3つにあると考えている。

 

ゲーム性における方向性

真・三國無双7 with 猛将伝
 

 

ベルセルク無双 - PS4

ベルセルク無双 - PS4

 

 

日本のゲームで、近年、派生作品が多いのが無双シリーズであろう。

無双シリーズのゲーム性における方針は一騎当千である。

 

一騎当千をもっと噛み砕くと、プレイヤーキャラクター1人で、たくさんの敵(ざっと1,000人)倒せることである。

このゲーム性を守ることで、「無双」としてのアイデンティティを保ちながら、たくさんの派生作品を生み出すことに成功している。

 

では、無双シリーズは、この「一騎当千」というゲーム性を追求することで、どういったトレードオフを行っているのだろうか。

 

無双シリーズは、敵とのバトルで「強敵との駆け引き」というゲーム性を切り捨て、「たくさんの敵を時間内に倒す」というゲーム性をとっていると考えられる。

 

ダークソウルやモンスターハンターシリーズの様にじっくりと時間をかけて1人の敵を倒すというおもしろさは、無双では体験できない。

それを追求することは、敵を多く倒すこと=一騎当千と矛盾するからである。

 

この様に、ゲーム性における方向性(例えば「一騎当千」)を立て、それにそったトレードオフをすることで一貫したゲーム性を保つことができるのである。

 

この方向性を守ってきたから、「ワンピース」も、「北斗の拳」も、「アルスラーン戦記」も「無双」として成立できたのだろう。

 

アート面での方向性

戦場のヴァルキュリア リマスター - PS4
 

 

www.youtube.com

上記は、水彩画風のレンダリングが非常に特徴的な戦術SLGである。 

 

上記のアートの方向性は、「1930年代のヨーロッパの戦場」に「ファンタジー風味を加える」というものであったという。

 

※詳細はこの記事に詳しい(http://gamez.itmedia.co.jp/games/articles/0804/24/news003.html

 

それを実現するために、水彩画風のレンダリングシステムを導入し、キャラクターデザインもそういった世界観を描けるクリエイターに依頼したそうだ。

 

その結果、戦場のヴァルキュリアは、映画でよくみる「戦場」を表現しないというトレードオフを行った。

 

どういったビジュアルにするかという問題はゲーム開発を大きく左右する。

下記の記事では、ゼルダの新作のビジュアルの方向性について相当な苦労があったことが書かれている。

 

www.4gamer.net

 

どういったビジュアルにするかについての方向性も、ハードの進化により多様な表現が可能になった現代のゲーム開発おいては、欠かせない様に思える。

 

トーリー性の方向性

トーリーがゲームの核となることは珍しくない。

上記の「 戦場のヴァルキュリア」の開発者インタヴューの冒頭でストーリーについての言及されていることがそれを象徴している。

 

このインタヴューによると、開発チームは「人と人とのつながり、絆」を描きたかったという。

そのアイディアを実現する舞台として戦場を選んだという。

 

ただ、ストーリーの方向性は、抽象的である。そのため、ゲーム性やアート面における方向性と異なり、多くの開発者に同じイメージを抱かせることが難しい。

例にあげた「絆」という言葉も、思い描くイメージは人それぞれである。

 

まとめ

ゲームデザインにおける方向性にはどういったカテゴリーがあるかを考えてみた。

これら3つの方向性は、それぞれ影響しあっている。

 

戦場のヴァルキュリア」ばかり例にあげるが、「人と人とのつながり、絆」でストーリーを展開させるために、戦場という舞台を選び、1人の人間をユニットとする戦略SLGというゲームシステムを採っている。

それぞれの方向性が相互に関わりあって一つのゲームは成立している。

 

開発中に突然、上からの提案(横やり)が入り台無しになるというのはよくある話である。

それは、この提案が、トレードオフトレードオフを重ねてつくられたゲーム性、ビジュアル、ストーリーのバランスを壊すものだからである。

これ以上、書くと愚痴になるので今日はここまでとする。

 

以上です。