「気づいた人がやる」に対する対策
前回は、「気づいた人やる」という習慣が、ゲーム開発やプロジェクト開発で運用されると多くの害悪が発生するということを書いた。
上記のブログに関して「問題の解決策を提示してほしい」というご意見を頂いた。
今回は、「気づいた人がやる」という習慣をプロジェクトから消し去るための対策を考えてみたい。
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- 対策①:ワークフローをつくって共有する
- 対策②:プロジェクトを管理する人のタスクを軽くする
- 対策③:スケジュール管理専門の人材をアサインする
- 対策④:振り返り会を導入する
- 対策⑤:「気づいた人」にインセンティブを設ける
- まとめ
対策①:ワークフローをつくって共有する
問題が発生した時に、それをどのように解決するかというワークフローを作成するのである。
例えば、
問題を発見したプロジェクトメンバーが発見した場合、まずはその問題を全体に共有する。
次に、プロジェクト管理者(ディレクターなど)が、問題を解決するの担当者を決める。
そして、担当者が問題を解決に当たる
といったものである。それを決め事としてプロジェクト内に共有するのである。
対策②:プロジェクトを管理する人のタスクを軽くする
上記のワークフローを定めたとしても、プロジェクト管理者がいっぱいいっぱいで、問題解決に当たる人を決める時間もないということがざらにある。
そこで、まず、プロジェクト管理者のタスクを他の作業者に振り、業務量の軽減化を図る。それにより、問題の解決に当たる人を決める時間をつくるのである。
※過去のエントリーで、ディレクターのタスクを軽くするメリットを書いています。
対策③:スケジュール管理専門の人材をアサインする
どうしても、ディレクターが、上記の様なワークフローの運用やスケジュールの調整、タスクの管理まで行えないといのではあれば、それを専門に行う人材をアサインするという方法がある。
ディレクターとは別に、プロマネを立てるのである。
実際に私も、プロマネとディレクターがいるプロジェクトも経験したことがある。
対策④:振り返り会を導入する
プロジェクト管理者がトップダウンで問題を解決するのではなく、プロジェクトメンバーが話し合い、問題の解決方法・担当者を決めるという手法である。
※この手法は、前回のブログのコメントに頂いた案です。
振り返り会は、アジャイル開発という開発手法で、一般的である。
プロジェクトメンバー全員が定期的に集まり、スケジュールの進捗状況の確認や、プロジェクトの問題点を話し合う話を設ける。これが「振り返り会」である。
これを導入することで、発見された課題の解決を適切な人員が担当することになる(たぶん)
というのも、スケジュールの進捗状況を話あう場であるため、スケジュールがパンパンな人にタスクを押し付けるようなことはないからである。
ただ、この手法は大規模開発に向かない。アジャイル開発がそもそも大規模開発を想定しておらず、振り返り会も大規模開発に導入するのは現実的ではない。
対策⑤:「気づいた人」にインセンティブを設ける
前回の記事に関して以下のブログにて反響を頂いた。
その内容をざっくりいうと、「気づいた人がやる」事自体は、害悪ではなく、「気づいてやった人」になんらかの報酬がないのが問題だという話だ。
「気づいてやる人」の給料やボーナスをその労力に見合った額にすれば、「気づいてやる人」が会社を去っていくこともなくなる。加えて、今まで見て見ぬふりをしていた人も、給料やボーナスのアップを狙って、問題を率先して解決するようになることが期待される。
だが、この手法はプロジェクトメンバー全員の雇用体系が正社員でないとなかなか厳しい。昨今のゲーム開発の現場で、全員が正社員なんてのはかなりまれである。私は遭遇したことがない。
まとめ
そもそも、「気づいた人がやる」問題が解決されない理由は、プロジェクトマージメントがしっかりとなされていないことが原因である。
上記の解決策は、みな「プロジェクトマネージメントをしっかりしよう!」という話にすぎない。
だが、私の実感として、日本のゲーム開発は、プロジェクトマネージメントがなっていない、そんな概念が存在しないというケースが非常に多い。
以下の、日本産のゲームのシェアが低下している原因について書いた記事でも、日本のプロジェクトマネージメントのヤバさについて言及されている。
……
(海外のゲーム開発とは)「予算が違う」、「規模が違う」のはある意味で過程の問題であり、その前に「大規模なプロジェクトのために資金を集め、事業計画を立て、万が一の時にターンアラウンドもする」という、全体計画の点で劣っていたのではないか、と思うのだ。
……
(上記の記事より引用)
論じている問題は違うが、上記の記事でも、プロジェクトマネージメントが海外に比べ遅れていることが指摘されている。
上記の理由から、「気づいた人がやる」問題の根は深く、簡単には解決できない。
まずは、みなが「気づいた人がやる」のヤバさ原因を共有するところからはじめてみませんか(提案)
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