ゲームプランナーの技術ブログ

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なぜドラクエはキャラクターボイスを実装しないのか?:ゲームプランナーの技術ブログ

 

ドラゴンクエスト11に関するツイートをみていたのだが、最近の若い子たちは、キャラクターボイスが実装されてないとに違和感を覚えるという。

 

 

 

ここ数年リリースされているゲームのほとんどに、ボイスが実装されていることを思えば、当然の反応といえる。

 

ではどうして、ドラゴンクエスト11はあえてボイスを載せていないのか。

今日はキャラクターボイスを実装しない理由を考えてみたい。

 

 

 

問題の背景

ボイスを実装しなかった理由が、コストを抑えるためと言ったありふれた理由ではないことは明らかだ。

 

というのも、ドラゴンクエストは、日本だけで100万本以上のセールスを超えるタイトルであり、相当大きな開発費をかけられるタイトルである。PS43DSという仕様が大きく異るハードで開発するという、まずありえない方式をとっていることもその現れである。

また、PS4の街やキャラクターの作り混み具合をみても、豊富な開発費が投じられていることは明らかである。

 

ボイスを実装しないメリット 

勇者は話してはいけない

この問題には、主人公が話さないことが大きく関係していると思われる。

ドラクエは、主人公がなんらかのセリフを発しないつくりになっている。

というのも、その方が勇者への感情移入がよりしやすくなるからだ。

 

ドラクエは、ゲーム開始時に勇者の名前を決めさせるというお約束がある。

それは、多くのユーザーに、その勇者に感情移入させるためであることは明らかであろう。

自分の名前や自分の親しいものの名前をつけられれば、そのキャラクターに対して感情移入しやすくなる。

 

そうやってわざわざ感情移入しやすいギミックを用意しているのに、勇者がセリフをしゃべりだせば、台無しになってしまう。

 

勇者がセリフを話せば、そのセリフが個々のユーザーの思いや考えと違った場合、一気に感情移入できなくなる。

 

そして、そんな主人公と会話する他のキャラクターも話さない方が都合がよい。

ただ、それ以上の理由がある。

 

テキストを読ませたい

ドラクエと言えば、独創性のあるテキストである。

そのテキストを楽しませるために、あえてキャラクターボイスを実装しなかったのではなだろうか。

 

フィールドや街で死体を調べた時の

「返事がない。ただの屍のようだ」という過去のドラクエシリーズで用いられたメッセージは有名である。

 

このメッセージの威力について、「俺の屍を越えていけ」で有名な桝田省治は自著でその有用性を語っている。 

 

ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ― (ThinkMap)

ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ― (ThinkMap)

 

 

例えば、主人公が声をかけたという事実はしっかりと伝えているが、どういった声をかけたのかについては明示していない。

もし、「「しっかりしろ!!」と声をかけたが何も言わなかった」とだったならば、勇者が勝手に喋りだしてしまっているので、感情移入が損なわれてしまうのである。

 

また、もし「声をかけてみた」といったテキストだけなら、感情移入が損なわれることはないが、声をかけた結果が明示されないから、いやいや、だからなんなんだよと、ユーザーは思ってしまう。

 

そして、升田氏は言及していないが、「死んでいる」という言葉だけでは、味わうことができない物悲しさが伝わる。

 

この様に、ドラクエは、テキストがとても重要な役割を果たしている。テキストを読むこと自体がこのゲームの楽しみでさえある。

「パフパフ」なんてその最たる例で、なんかよくわからんが、色々を想起させる。

 

そして、今回のドラクエシリーズでも、パフパフはもちろん、テキストを読むおもしろさは損なわれていない。

 

例えば、以下のテキストである。

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みるからにいろんな匂いがしそうなキャラクターの様子をしっかりと物語っている。

匂いは、どんなにビジュアルが進化しても伝えることができない要素であるので、とても効果的だ。

 

 

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うさぎがスンスンうなっている。

 これ、うさぎに触れたことのある人ならわかるが、確かにうさぎはスンスンしている。

 

次にこれだ。

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この馬は、ゲーム中、キーになるキャラクターの馬である。

この様に記述することでそのキャラクターの美意識が伝わってくる。

 

まとめ

ボイスは確かにリアリティーを引き立てる。

しかし、テキストは、ボイスでは伝えられない、人間の想像力をかき立てる力を持っている。ときには、グラフィック以上に的確に状況を伝えることが出来る。

 

ドラクエ11は、ハイエンドグラフィックが全盛なこの時代にも、テキストで表現することが十分に有用であることを教えてくれる。