コンセプトワークの有用性
前回は、ゲーム開発における方向性の重要性について書いた。
こういった方向性は、コンセプトとも呼ばれる。そして、コンセプトを元に仕様を設計・実装したり、グラフィックの発注、制作を行うことをコンセプトワークと言う。
コンセプトワークがゲーム開発においては重要であることを書いたが、ないがしろにされることが多い。
今回は、コンセプトワークを実施することで、どんな良いことがあるかを書いてみたい。
良いこと① :自分自身を自制できる
上記の本には以下の様に記載されている。
……また、ともするとゲーム開発者は開発しながら細部のおもしろさに喜びをおぼえて、コンセプトとは無関係な方向にいきがちになる。(p.63)
一つのゲームは、様々な要素の組み合わせである。売り切り方のゲームでも、ソーシャルゲームでも、様々な要素があり、それらが一つのゲームをつくりあげている。
一つの要素だけをとって、自分が「おもしろい」と思えるようにつくることは、大変危険であるが、ついついやってしまう。
コンセプトワークを心がけることで、これを避けることができる。
良いこと②:意識を共有できる
開発に関わるスタッフが数人であることはインディーズゲームの開発を除けば、ほとんどない。
数十名は当たり前であり、数百名に達する開発プロジェクトも存在する。
そういった開発規模で、プロデューサーやディレクターといった1人の人間が考える「おもしろい」という感覚を共有することは難しい。
そこで、おもしろさを言葉にした「コンセプト」があれば、それを多くのスタッフに理解してもらうことができる。そしてそれを元に仕様設計、実装、グラフィックの制作、発注をしてもらえば、プロデューサーやディレクターが望んだものに近いものができあがる。
もちろん、コンセプトワークを徹底していても、プロデューサーやディレクターのチェックとリテイクは必要である。しかし、それを徹底していない場合は、よりいっそうチェックに時間がかかり、リテイクの回数も増えてしまう。
良いこと③:「おもしろさ」に振り回されない
開発中のゲームは、バグもおおいし、パラメータの設定もめちゃくちゃであり、おもしろくなどない。よって、今つくっているものが、おもしろいかどうかで制作物の良し悪しを判断することはできない。
そこで、コンセプトワークである。コンセプトワークがなされているかどうかを判断することで、開発の状況を理解することができる。
コンセプトに沿うものは何かを考えることで、次にどういったアクションが必要かを判断することができる。
まとめ
コンセプトワークを心がけることで、目指すべき「おもしろさ」に近づく仕事ができる。このことが、コンセプトワークの一番の有用性だと思う。
どのゲーム開発者も、おもしろいゲームを開発したいと思っているはずだ。
また、コンセプトワークの有用性を書いてきたが、上記の有用性を満たすためには、コンセプトが多くの人に理解できるものであることを前提としている。
間違っても、「爽快感」の様な人によって感じ方が様々なものをコンセプトにしてはならない。
今日はこのへんで。
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