ゲームプランナーの技術ブログ

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コンシューマゲームをスマホへ移植する際に変更すべき箇所

 
フォートナイトだったり、PUBGだったりとコンシューマゲームスマホ版への移植が目立ち始めた。
 
ただ、単純な移植というわけではなく、スマホ向けにいくつか仕様変更をしている。
 
そして、かなり極端な仕様変更をしているのが、デッド・バイ・デイライト(以下、DbD)である。

 

Dead by Daylight (輸入版:北米) - PS4

Dead by Daylight (輸入版:北米) - PS4

 

 

今回は、デッド・バイ・デイライト(以下、DbD)スマホ版ともいえるIdentity Vをもとに、コンシューマゲームスマホへの最適化の方法を考えたい。

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DbD とは? Identity Vとは?

DbDとは、1人の殺人鬼(キラー)と4人の逃亡者(サバイバー)が対戦する非対称対戦型アクションゲームである
キラーは、サバイバーに逃げられる前に、一定人数を殺すことが勝利でき、サバイバーは所定のエリアからの脱出することで勝利となる。
 
※詳細は下記。
それをもとにつくられたのが、スマホゲームのアイデンティティーⅤである。
アプリの開発やリリースは、中国の会社がつくっているが、DbDの開発会社が開発に協力しており、本家公認である。
 
そのためかDbDのおもしろさを非常にうまく落とし込みつつ、スマホ向けに様々な仕様変更が行われている。
 

仕様変更1:マネタイズの変更

コンシューマ版のDbDとは違い、スマホ版のIdentity Vは、マネタイズを基本無料にしている。
スマホゲームは、基本無料でないとなかなか成功が難しいからだろう。
スーパーマリオランが買い切りにだったために、スマホゲーマーから指示が得られなかったことは記憶に新しい。
 
ちなみに、PUBGやフォートナイトでもスマホ版では同様の仕様変更をしているので、この対応はマストだと思う。
 

仕様変更2:ゴア表現の排除

DbDは、日本だとZ指定(18歳以上向け)であり、残虐な表現が多い。
キラーからの攻撃を受ければ、血が飛ちるのはもちろん、
キラーが金属のフックをサバイバーに刺してぶら下げ、一定時間すぎると、尖った金属が頭上から降りてきて、体を突き抜けるというかなりどぎつい表現がある。
 
このままだと、小学生でもDLできてしまうスマホゲームにそぐわない。また、グーグルプレイやappstoreの審査に通らない可能性がある。
 
Identity Vでは、以下の様な仕様変更によりこの問題を回避している。
 
キラーの武器を鈍器にすることで、サバイバーが攻撃を受けても血が出ないようにしている。攻撃を受けた後は、ピヨってスタンする
また、フックにぶら下げる表現を完全に排除している。捕らえられたサバイバーは、椅子にくくりつけられ、そして時間がたつと椅子につけられたロケットで飛んでいくというものになっている。
 

※下記参照

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こちらから引用

グロ表現が無いので安心して人にオススメできるスマホ版Dead by Daylight。『Identity V』が面白い!(感想・評価・レビュー) - 嗜む程にゲームを味わう

仕様変更3:頭身の変更

Identity Vは、Dbdとはことなり、頭身を変更している。
これには以下の様な効果があるように思われる。
まず、上記の様なコミカルな表現(鈍器で殴られてピヨる、ロケットで飛ばされる)と相性がよいため、違和感が軽減される。
 
※以下を参照
次に、処理負荷の軽減である。スマホには、まだまだ低スペックなものも多いため、処理を軽減することは重要である。
 

仕様変更4:一人称視点の廃止

DbDでは、キラーの視点が一人称であるが、Identity Vでは三人称視点となっている。
 
DbDのこの仕様の意図は、どうしても有利になりがちなキラーを、一人称視点の特性を利用(=視界を狭くなる)してバランスをとっているものだと思われる
 
※一人称視点と三人称視点については下記を参照
アイデンティティーⅤがこれを三人称視点にしている。
その理由には以下の様なものが考えられる。
 
-一人称視点よりも操作が優しい
-スマホではまだ採用されているタイトルがそれほど多くない
 
といった理由からだろう。

まとめ

-マネタイズを基本無料にする
-ゴア表現の排除
-ゴア表現の排除にともなうコミカルな表現に適したビジュアルの採用
-操作の簡易化
 
アイデンティティーⅤでの主な仕様変更である。
これはどれも、スマホゲームのユーザーの特性に合わせたものだと言える。
 
ただ、アイデンティティーⅤは、DbDが持つサバイバーとキラーの駆け引きは、そのまま引き継いでいる。仕様変更により、この様なおもしろさのコアになる要素(=コンセプト)を壊すことは決してしていない。
 
スマホに最適化しつつ、おもしろさのコアを守れるように気を付けたい(戒め)
 

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